携帯電話の死

iPhoneを買ったので、長年使っていたdocomoを手放すことにした。
「じゃあ、こちらで処分します」と係員が携帯を閉じた瞬間、ブルーのイルミネーションがけなげに点滅してそれから静かに消えた。
あ、命が消えるのだなと思った。
それから係員は万力のようなものを取り出し、携帯のプッシュボタンにぐさりと穴を開けた。3カ所。
「ほら、こことこことここをつぶすと、もう二度と電源が入らないのですよ」
息の根を止められた携帯電話は動物の亡きがらのようだ。
たとえ携帯でも、安楽死させるのはあまり気分のいいものではない。なにせ毎日手にとって使うのだから、自分の気が浸みている。

少しぐったりして帰宅。
死ぬ寸前の携帯と、4年前に22歳で逝った愛猫の姿がかぶってせつない気持ちになる。

2009.03.10