辰巳天中殺のみなさんへ その5   

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 全国の辰巳天中殺のみなさんこんにちは。
 本宇宙船・辰巳号はここ1年ほど電波の届かないブラックホールを遊泳してまいりましたが、ここでようやく地球帰還の軌道上に入りましたため、記事をアップできる運びとなりました。
 2013年宇宙の旅も残すところあと3カ月(天中殺は2014年2月3日まで)、月日のたつのは本当に早いものです。
 アク出し、ウミ出し、厄落としはみなさん順調に進行されてますでしょうか。次に挙げるチェックリストで、各自確認してみてください。

◎人間関係や恋愛でもめている、もしくは関係が崩壊しつつある
◎「この広い世界に自分はたったひとりぼっち」と痛感せざるを得ない
◎仕事で致命的なミスを冒して前途が見えない
◎お金がないというのに出費が止まらない
◎憂うつと倦怠感が交互に肩にのしかかってもう何もしたくない
◎やることなすこと空回り、むしろ墓穴を掘っている
◎夕暮れの帰宅途中、理由もなく涙がこぼれ落ちる
◎不安と心配が襲ってきてぜんぜん眠れない
◎愛用していた茶碗や電化製品、アクセサリーなどが次々に壊れていく
◎いっそ死んでしまいたいと思う

 以上の項目のうちひとつでも当てはまる方は「天中殺を正しく過ごしている」、逆にひとつも当てはまらない方は「天中殺を生半可に過ごしている」と判断してよろしいかと思います。天中殺期間中はつらくてなんぼ、つらければつらいほど「浄化が進んでいる」「スキルを鍛えられている」ととらえていいでしょう。
「夜明けはきっとやってくる」「心頭滅却すれば火もまた涼し」「だけど涙が出ちゃう、だって女の子なんだもん」などとつぶやきながら、一日一日を堪え忍んでいただきたいと思います。

 では、九星別に点呼をとりましょう。船内ロビーにお集まりいただいたみなさんのお姿、まるでゾンビか貞子か落ち武者のようですねおばけ屋敷かここは。
 いえ仕方ありません、辰巳天中殺のみなさんは誰よりも生存本能が強いがゆえに、逆境を押しのけようとするパワーも人一倍強く、作用反作用が派手に出がちなのです。このあたり、静かに堪え忍びながら傷を最小限に抑える子丑天中殺とは大きく違うところです。
 では、呼ばれた方は挙手お願いします。
 
 一白水星の辰巳天中殺さーん、はーい。
「孤独絶賛体験中」と顔に書いてありますね、いいんですよそれで、人間はそもそもひとりで生まれてひとりで死んでいく、大切なのは孤独という名の冷たく澄んだ宇宙世界でどれだけ自分らしい花を開かせるかです。前後左右には誰もいなくても、斜め上360度の天空世界ではたくさんの魂があなたのことを見守っています、「がんばれ一白の辰巳!」「そのままでOKだ一白の辰巳!」とね。
 年末は人間関係に少し気を配るといいかと思います、エレベーターでベム・ベラ・ベロの3人組が「開」のボタン押してあなたが降りるのをじっと待っててくれたら「ありがとう」と言ってみる、赤ん坊少女タマミちゃんがあなたの顔をじっと見つめていたらニコッと微笑んでみる、自分が座ってる目の前に婆さんや爺さんやあずき洗いが立ったらさりげなく席を譲ってみる。するとその瞬間からあなたを取り囲む氷の檻が静かに溶け始めます。生きてる世界はたしかに孤独でも、そういったことをきっかけに冷たい孤独から温かい孤独へ移行できるのではないかと思います。

 二黒土星の辰巳天中殺さん、はい。
 そうやって壺の中で砂糖をギュッと握りしめているといつまでたっても手が抜けませんよ、不便じゃないですか? 両手が壺だと。
 ・・・・・・えっ? 手がグーのまましびれて硬直して抜けなくなっちゃった? 仕方ないなあ、じゃあ壺を割るしかないですね。え、もったいない? うーん困りましたね、砂糖はこぼれちゃうけど壺を割って手を自由にするか、手は不自由だけどそのまま砂糖を握りしめたままでいるか。どっちがベターかちょっと考えればすぐわかることなんですけど、なーんかその壺と砂糖に執着しちゃってるんだよなあ。
 天中殺期間中ににっちもさっちもいかなくなっちゃったときの身の処し方として、「とりあえず手放す」というのがあります。「大事」と思ってるものを、いったん手放してみる。恋人しかり、親友しかり、長年の宝物しかり、金銭しかり。自分にとって本当に必要なものならまた手元に戻ってきますが、そうでないならそのまま離れていきます。いいじゃないですか、身軽なほうがラクですよ。
 でも、一度手に入れたものを手放すのってなかなか勇気がいるんですよね。これができるかできないか、二黒の辰巳さんは今、天から試されているのではないかと思います。

 三碧木星の辰巳天中殺さん、あれ? いらっしゃいませんね。
 あっあそこの氷の惑星に遠征して探検してるんですか、船内の生活に退屈したんでしょうね。では望遠鏡で見てみましょう。・・・・・・ああっ三碧のみなさんったらツルツルすべる氷の上で薄っぺらい革底の靴履いて一生懸命走ろうとしていらっしゃる。いったい何がしたいんでしょうよくわかりません、こういうのを「空回り」といいます。
 何かしたい、じっとしているのはいやだという気持ちはわかります、わかりますけれどもいたずらに行動しても意味がない。尻餅ついてお尻が痛くなるだけです。
 あのう、そろそろこちらに戻って温かいおこたでみかんでもむいたらいかがでしょう、あとたった3カ月の辛抱なんですから。
 ・・・・・・船外メガホン通してるから聞こえてるはずなのにガン無視ですか、え? わが人生行動あるのみ、ですか。何となく聞こえました。そうやってマイペースを押し通す一途さ、天衣無縫さが三碧の辰巳さんの長所ですけども、天中殺のときくらいは静かにおのれの心と対話して・・・・・・あああ勢いよくすべってころんでバウンドして高速でクルクル回りながら無重力の宇宙空間に飛び出していっちゃった。マジックハンドで回収するの大変なんですよね、仕方ないなあ。

 四緑木星の辰巳天中殺さん、はい。
 全員おそろいですね。この期(ご)に及んでおだやかないいお顔をしていらっしゃるのは「協調性」「理性」「冷静」といった特性を天から与えられているからでしょうか、 「運の神さまが味方についていない天中殺期間はじたばたしてもしょうがない」といさぎよく割り切る賢さが、四緑の辰巳さんには生まれながらに備わっていらっしゃる。まさに悟りの人、荒野の賢人です。
 とはいえ四緑だって人の子だ、やっぱりこの1年はつらかった。頼りにしていた人が助けてくれない、友人と仲違いする、たちのよくない人と縁ができてしまう、ふだんなら起こりえないようなミスが発生する、まとまるはずの話がちっともまとまらない、商売がうまくいかないなど、頭を抱えることも少なくなかったのではないでしょうか。
 それって「あなたの生き方が今のままでいいかどうか、基本に立ち返ってもう一度考えてみてはどうでしょう」という天の問いかけなんですね、別に「運が悪いから」起こったわけじゃありません。
「はっ! 自分、勘違いしてたかも」「ちょっとブレてたかも」「周囲のことが見えなくなってたかも」と気づいた四緑はこの先スムーズに天中殺を抜け、明るく楽しい2014年を迎えられることと思います。たぶんだいじょうぶでしょう。

 五黄土星の辰巳天中殺さん、あれ? 姿が見えません。
 そうか、体温下げて冬眠カプセルに入っちゃったんですね。・・・・・・この1年間つらかったもんなあ、生きてるのがイヤになるくらいしんどかったんでしょうきっと。あっ眠りながらはかなげに微笑んでるいったいどんな夢を見ているんでしょうか、いいですいいですそのままそっとしておきましょう、どうせほっといても年末には目覚ましシステムが作動します、そろそろ帰還準備をしなければいけませんからね。
 年末から来年初頭にかけて五黄の辰巳さんは人生の過渡期に突入する、つまり自分を取り巻く環境に大きな変化が起こる可能性があります。もしかすると自分の能力の限界を越えた山登りに挑戦しなければならなくなるかもしれませんが、「人生に必要なプロセス」ととらえておおらかに受け止め、努力してみてください。頂上には素晴らしい桃源郷が広がっているはずですから。
「身に降りかかることはすべて必然、この世にムダなことは何ひとつない、そうなることになっている、これでいいのだ」を口ぐせにすると、少しはラクに登れるのではないかと思います。いや逃げるな、目の前に山があったら素直に登らなくちゃだめだ、五黄の名がすたる。

 ここらへんでちょっと休憩しましょうか。お近くのキャビンアテンダントにお好きな飲み物をご注文ください。干し芋、焼き芋、ふかし芋などの茶菓もご用意がございます。
 窓の外、はるか彼方に地球が青く光り輝いているのが見えますか? いったい誰が創造したのかわかりませんが、この美しい球体は何か強い意思を持ってダイナミックに活動しているように思えます。
 そのパワーの源泉は、国境を越えてあなた方全員がご存じの言葉、日本語ならひらがな2文字、漢字にすると1文字、英語ならアルファベット4文字で言い表されます。「それ」がある限り何があっても地球は回る、強く静かに回り続けるのです。「それ」の答えは・・・・・・おっと、お時間です。ミーティングを再開します。

 六白金星の辰巳天中殺さん、うーんちょっと疲れたお顔をしていらっしゃる。
 仕方ありませんね、この1年間は「がんばってもがんばってもわが暮らし楽にならざり じっと手を見る」だったのですから。正直に言いますと「労多くして実り少なし」な年でしたが、その苦労、決して無駄にはなりませんよ。なぜなら「自分のしたことは超光速で地球を1周して再び自分に戻ってくるだって地球は丸いんだもん」という絶対的な法則があるからです。
 いいことも悪いこともすべて自分に返ってきます、いいことは2、3倍くらいにふくらんでのんびり返ってきますが悪いことは10〜15倍くらいに増幅してすばやく返ってくるというところもしっかり赤マーカー引いて覚えておきましょう、これ過去5年間、超難関のトップ校で必ず出題されてる問題です。
 ですからね、あきらめない、くさらない、さじを投げない。最後まであきらめちゃダメなんです。フーテンの寅が忘れたころにある日ひょっこり「とらや」に帰ってくるように、「頑張りの果実」は特別な宅配便で必ずあなたのもとに運ばれてくる、果報は寝て待て、待てば海路の日和ありだ。
 2014年天中殺明けから少しずつ楽になりますよ、たわわに実った甘い果実は今、誰かの手でていねいに梱包されているところです。配送先はもちろんあなたの住所です。

 七赤金星の辰巳天中殺さーん、あっ! 貧乏神がぺったり背中に貼り憑いてますよ。宇宙にも貧乏神っているんですね、とりあえず祈祷して船外に出てってもらいましょう。
 ええと天中殺時に起こりがちな現象として「なくてはならないものがなくなってしまう」が筆頭に挙げられます。衣食住にこだわる七赤の辰巳さんになくてはならないものといったら、はい、お金です。
 この2年間で衝動買いや浪費癖に拍車がかかってる人、貯金が目減りしちゃってる人、財布が空になっちゃった人、少なくないと思います。しかし、そろそろここで歯止めをかけましょう。今の世の中、お金がないとつらいですよ。ここで、お金が集まってくる秘訣をいくつかご紹介しますので参考になさってみてください。
 まず、「お金は汚いもの」と思わないことです。頭と身体を使ってがんばって働けば、報酬がもらえるのは当たり前のことです。その仕事が少しでも世のため、人のために役立つのなら、きちんと報酬を得ていいのです。誰にも遠慮はいりません、どんどん稼いでください。そしてそのお金をどう使えば自分やまわりがもっと幸せになれるのか、具体的に考えてみましょう。
 次に、お金に敬意をはらうことです。お金を支払うときに「役に立ってくれてありがとう、いい旅を。次はもっとたくさんの仲間を連れてきてね」の意味を込め、「ありがとう」とひとこと口に出しましょう。店員さんも「どういたしまして」とにっこり微笑んでくれますし、一石二鳥です。
 そして、お金が入ってきたらいい財布に入れ、ていねいに扱います。いい財布はいいにおいがします。たまに嗅いでみてヘンなにおいがするようなら買い換えどきです。使わないお金は信用できる金融機関に預け入れ、そっと眠らせておきましょう。
「お金の機嫌を損ねないよう大事に扱う」「お金の気持ちを考えてお金に好かれるよう心がける」、たぶんそこら辺がキモかと思います。このくだり、天中殺じゃない人も知っといて損はないと思います。

 八白土星の辰巳天中殺さーん、うわぁっ。
 何ですか白装束にそのハチマキ、「厭離穢土(おんりえど) 欣求浄土(ごんぐじょうど)」って書いてありますね。それ徳川家康の旗印じゃないですか、あっ家康もたしか八白土星でしたね。「この世は欲得の争いで汚れてる、だから平和で清らかな極楽をめざすのだ」という意味ですか、ああみなさんよっぽどこの世の中がイヤになっちゃったんですね天中殺って恐ろしい。 
 しかし浄土っていったいどこにあるのでしょう、オーストラリアのエアーズロックでしょうかペルーのマチュピチュでしょうかハワイのラニカイビーチでしょうかスイスのユングフラウでしょうかそれとも日本の高尾山でしょうか。
 浄土を求めて三千里歩き回っても答えはなかなか見つからないと思います、だって浄土は想像の世界、つまりあなたの心の中にしかないんですから。
 え? 心の中は真っ暗闇で浄土のじょの字もない? そうですか。ではちょっと目を細めてみてください、その真っ暗闇の洞穴の奥深くのずーっと向こう、いえそっちじゃなくてもっと奥の奥、そのあたりにアルコールランプくらいのかすかな光がぼんやり見えませんか?
 あなたの浄土はたぶんその光の中にあると思います。よく見えないのはピントが合ってないからです。残り3カ月の宇宙旅行を心安らかに過ごしたいなら、その光にピントを合わせてみてください。

 九星火星の辰巳天中殺さん、ああっ懸命にシャドウボクシングしていらっしゃる。
 いったい誰と闘っていらっしゃるんでしょう、ああ過去ですか。2013年、九紫の辰巳の方々には「封印した過去が姿を現す」というプログラムがご用意されておりました。大変でしたね、自分の一番の敵は自分ですものね。
「ポルターガイスト」というホラー映画のクライマックスで、家の敷地の下から勢いよくボコボコ棺桶が飛び出してくるシーンがありました。そこはインディアンの墓地をつぶして作られた住宅街だったのですね。ちょうどああいう感じで、九紫の辰巳さんの目の前には誰にも知られたくない過去のミスや秘密がボコボコ飛び出してきたのではないでしょうか。そのたびにキャーッとかウギャーッとか叫んだり深夜の町をダッシュしたりして、まるでホラー映画の主人公になったかのような気分を味わえたのではと思います。
 助かるコツはですね、2つあります。最後まで逃げ切るつまりしらを切り通す、もしくは闘うつまり「はいその通りですが何か?」と認めて居直ることです。迎合したり中途半端な言い逃れをするのが一番よくありません。
 結論を伸ばし伸ばしにしてきたこと、どっちつかずでもめていることがあるなら、ここら辺で一気に片付けてしまってはどうでしょう、面倒ですが今のうちにケリをつけてしまえば、3カ月後に地球に戻ったときラクですよ。

 はい、以上でミーティングを終わります。
 残り3カ月気を引き締めて、この宇宙旅行を楽しく有意義に過ごしてまいりましょう。2014年2月から乗船されるのは・・・・・・・ああ午未(うまひつじ)天中殺さんですね。この方たちの通称は「市井(しせい)の悟り人(さとりびと)」「クールな必殺仕事人」、たぶんあまり手がかからないでしょう。私たちキャビンアテンダントも少し気が楽です。
 それではどなたさまも肩の力を抜いて気を楽になさり、引き続き快適な空の旅をお楽しみください。すてきな旅の思い出を胸に刻まれますように。Thank You。