秋祭り

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 日曜日の夜、少し足を伸ばして隣町まで買い物へ。帰りに道路を練り歩く御輿に遭遇。秋祭りである。どうりで風が涼しいはずだ。
 通行止めされた道路のど真ん中では盆踊り大会が繰り広げられ、その脇を御輿がわっせ、わっせと練り歩く。その通りにそんなにたくさん人がいるのを見たのは初めてだった。
 今夜はいいじゃん! とばかりに嬌声を上げて夜の道路で遊びまくる子どもたち、大声で笑いながら仲間と世間話に興じる若者たち、寝てしまった小さな子どもを抱いて歩く父親や母親。
 元気な彼らをよそに、御輿を静かに見つめているのは老人だ。缶焼酎を手にした小柄な70歳くらいの男性は、足を引きずりながらずっと御輿について歩いている。太った老婦人は杖で体を支えながら、懐かしそうな目でじっと御輿を見つめている。露店を出している初老の女性は縁石に座り、ビールを飲みながら何も言わずに御輿をながめている。どの顔にも貫禄がある。
 彼らの横顔や後ろ姿を見ながら、この人たちはきっとたくさんつらいことを経験してきたのだろうなと思う。意にそぐわないことや理不尽なこと、悲しいこと、こわいこと、頭に来ること、そしてたまに幸せなことをそれぞれ何十年も経験して、何事もなかった顔をして祭りに参加しているのだ。
 オレンジ色の街灯が、夜の祭りを温かく照らす。
 多かれ少なかれどの人も同じだ、人生はそれほど捨てたもんじゃない、何があっても、どんな人でも、祭りの日はみんな同じ光に包まれる。

2009.09.13