家探しの極意

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 3月、4月は引っ越しの季節。すでに物件探しを始めている人も少なくないと思いますが、実は不動産の世界って奥が深く、ネットや店頭でチャチャッと探してチャチャッと決めるのはまず無理、それ相応の時間をかけないと、いい物件にはなかなか巡り会えません。時間をかけても巡り会えないこともままあります。
 立地を優先すれば予算が足りず、立地と予算が折り合っても建物自体が今ひとつなど帯に短したすきに長しでしまいには「もう面倒くさいから適当でいいや」と投げたり妥協しちゃうケースがほとんどと言っていいでしょう。
 悲しいかな努力しなくてもいい家に住める人はほんのわずか、ほとんどの人は「人間、辛抱だ」とか「まあ仕方ないか」「住めば都」などと自分に言い聞かせながら暮らしているのが現実です。
 でも自分を幸せにしてくれそうにない家に住み続けるのって悲しいですよね、日当たりや風通しが悪くても狭くても上下左右から音が響いても古くて陰気でも隣人がちょっとアレでも、家賃やローンは無慈悲に毎月通帳から引き落とされます。どうせ高いお金払って住むなら「あっ自分、この先どんどん幸せになれるかも」とうっすら感じられる家に住みたいものです。
 そこで、物件選びのコツをいくつかご紹介しましょう。読んでおくと、何かのときに役立つかもしれません。

1 吉方位の家を選ぶ
 方位学は理論や統計で説明できるものではなく、あくまでも経験則です。ですから風水や占いが苦手な人はもちろん気にしなくてかまいませんが、「運」とか「ツキ」という言葉に少しでもこだわりのある人は、今住んでいる家から見て吉方位の家を選ぶといいと思います。
 契約時や住んだ後にもし何かアクシデントがあっても「だいじょうぶ、ここは吉方位だからきっといいほうにころぶはず」と自分に言い聞かせ、スムーズに問題を乗り越えられやすくなるからです。気持ちが前向きになるんですね。
「方位がいいからだいじょうぶ」とか「方位が悪いからよくないことが起こる」などと思い込み、実際にそうなっていくことを「暗示」と言います。ただの砂糖を「これは風邪の特効薬だよ」と患者に飲ませた結果、本当に治ってしまうことを「プラセボ効果」と言いますが、これとよく似たようなものですね。
(ちなみに未来を予見する占いのほとんどはプラセボのようなものです。相談者が占い師の言葉を信じ、その通りの軌跡をたどりやすいのは「暗示の種」を植えつけられるからです。ですから、たとえ「当たる」と評判でも、ネガティブなことを言う占い師に近づいてはいけません。どうせ見てもらうなら、元気と勇気をくれる占い師を探すほうがおトクです。だって結局、自分の運を織り上げていくのは自分なのですから。)

 たかが思い込み、されど思い込み。実はこれ、意外にあなどれません。
「こっちへ行けばいいことがある」というプラセボは、不動産購入など人生の一大事に直面したとき、自信を支えてくれる後ろ盾になってくれます。
 吉方位にこだわらないまでも、「その年の凶方位への引っ越しは避ける」と心するだけでも、結果は違ってくるでしょう。
 ただし、転勤などで方位が選べない場合はこの限りではありません。吉方位であろうとなかろうと、あなたは行かなければならないのですから。(気になる人は神社にお参りするなど、対処法はたくさんあります。)
 その場合はこの項目を飛ばし、2以降の項目を読み進めてください。

2 周辺環境を見る
「だいたいどのあたりに住むか」がおおよそ決まったら、次はその土地の環境を調べます。これはネットで見るだけでは絶対にわかりません、実際に足を運び、あなたの目、鼻、耳、直感を駆使して、そのエリアの肌ざわりを確かめてみましょう。
 大きな公園や学校があるところなら昼は活気があっても夜は人気がなくなりますし、繁華街がそばにあるなら昼も夜もにぎやかですが治安の面で少し問題があるかもしれません。工場周辺はにおいや音が気になったり、墓場のすぐそばは少し線香くさかったり鬼太郎と目玉親父がたまに出没したり、坂の上なら体調の悪いときや疲れてるときは外出・帰宅が少しつらいかもしれません。
 どこが住み心地がいいかはあなたが若者か年輩者か、男性か女性か、サラリーマンか自営業か、朝型か夜型かなどによっても違いますから、自分の足で現地へ行ってみて、自分のライフスタイルに合うかどうか確かめてくるといいでしょう。
 平日と休日、朝と夜、雨の日と晴れの日など、条件を変えて何回でも行ってみることをおすすめします。

3 物件を見る
 エリアが特定されたら、次はいよいよ物件を見に行きます。新築のマンションを買う場合は作りものの仮想空間(モデルルーム)を見に行くしかありませんが、中古のマンションなら実際に現地へ行って確かめることができます。
 チェックポイントは①マンションの外見、②エントランス、③廊下とエレベーター(もしくは階段)、④郵便ポスト、⑤ゴミ置き場、⑥(あれば)駐車場です。
 もし「荒れて」いるなら住人の質も推して知るべし、人一倍繊細なあなたがそういうところに住むとたぶん後悔することになるでしょう。
 しかしこれら6つのポイントがすっきりして清潔感があるなら、そのマンションの管理状態と住人のレベルは「問題なし」と見ます。
 あ、自分の住む家の隣人さんの玄関前も要チェックですよ。マンションの狭い通路に自転車とか壺とかマリア像とか置いている家はないですか? ひとつ置くとふたつ、ふたつ置くと3つ・・・・・・としだいに増殖して、あなたが通る隙間が侵略される恐れがあります。見た目もあまりいいものではありませんしね。 
 管理人さんがいるなら、その人にいろいろ話を聞いてみるのもいいでしょう。感じがよくて働き者の管理人さんがいる物件なら、そこは「あたり」です。

4 部屋を見る
 さあ、それではいよいよドアを開けて部屋の中に入ってみましょう。
 あっこの不動産屋のお兄ちゃんルックスはいいけど後頭部が少しヤバイかもなんて見とれていてはいけませんよ、ドアを開けた瞬間がわりと大事なのですから。
 このときに不安やゆううつ感が頭をよぎるなら、やめといたほうが無難かもしれません。こういうのを「直感」とか「予感」とかいいますが、わりと当たります。
 また昼間なのに何となく薄暗かったり、空気がどーんと重苦しく感じられるようなら、そこに住んでもたぶんいいことは何もありません。おそらく前の住人があまり幸せでなかった可能性があり、あなたもそのあおりを受けて同じような運をたどってしまう恐れがあるからです。特に事故物件は要注意です。
 逆に「あっ、ここ空気が軽くていい感じ!」とか「明るくて気持ちのいい部屋だなあ」と素直に思えるなら、あなたとその部屋の相性はグググのグーということです。
 窓から何が見えるか、キッチンやトイレの水の流れはいいか、排水口からイヤなにおいが立ちのぼってこないか、じっとしているときに変な音が聞こえてこないか(外の騒音とかエレベーターの音とか階上・隣の騒音など)もしっかりチェックしましょう。こちらも曜日や時間帯、天気の違うときに何度でも足を運んでみることをおすすめします。

 具体的な間取りについてですが、細かいことをあまり気にしてもきりがないので、全体の輪郭がほぼ長方形ならよしとしましょう。
 凸凹が激しい間取り、三角形の間取り、台形の間取りなどは避けたほうがベターです。何より掃除が大変ですし、家具を置きにくいですし、住んでるうちに何かとストレスがたまってきます。

 マンションの場合は、上に住戸のない角部屋がおすすめです。メゾネットもいいでしょう。開放感がありますし、騒音の心配が少ないからです。
 ただし、「マンションは最上階と1階から先に埋まるのが世間の相場、最後に残るのは中住戸の中層階」ということを覚えておきましょう。人気の部屋は早い者勝ち、もし最上階の角部屋に入居したいなら、運を上げてタイミングのいい人になってください。
 天井は、高いほうが吉です。低いと運が「頭打ち」になりやすいからです。
 必要な部屋数は家族構成によっても異なりますが、1人や2人暮らしなら、ちまちました部屋が複数あるよりも、大きな部屋が1つか2つどーんとあれば充分です。そのほうが気の流れがいいですし、開放感がありますし、掃除もラクです。
 トイレ、浴室、洗面所などの水場は、できるだけ広いほうが吉です。水場には換気のため窓がほしいところですが、マンションではなかなか難しいかもしれません。窓がない場合は換気扇を常に回しておくとか、まめに掃除するとか、植物や生花を飾るなどで気の循環を促しましょう。
「何となく暗い場所」には盛り塩をして気を清めるのもいいかと思います。
「家の顔」と称される玄関ももちろん広いほうが吉。狭いより広いほうが「顔が広くなる」、つまりたくさんの人と知り合いになれます。お客さんを呼ぶときも気後れしません。
 予算の都合上どうしても猫の額くらいの玄関の家に住まなければならないなら、靴や傘はきちんとしまう、小物はあまり置かないなど、できるだけ空間をすっきり保つ工夫が必要です。
 気持ちに余裕と玄関先にスペースがあれば、季節の生花を飾っておくと厄除けになります。ただし水は毎日取り替え、枯れたら捨てるのが鉄則です。「あ、ここ、気配りのできるきちんとした人が住んでるな」と思われます。

 ややマニアックになりますが、家の中心から見た玄関の方位で、住人の気質を知ることもできます。
 北の玄関は人見知りだけど誠実、東北はちょっと気分屋な親分・姉御肌、東は働き者、東南なら人当たりのいいつきあい上手、南なら個性的、南西はかかあ天下(女性が強い)、西はおいしいもの食べたり飲んだりするのが大好き、北西はプライドを持って生きる人。わりと当たってるでしょう?

 実は、今あなたが住んでいる家は偶然手に入れたものではなく、意識する・しないにかかわらずあなた自身が「ここがいいから」「住みやすいから」と選び取ったものです。
 家というのは、あなたやあなたの家族の運をそのまま受け入れて反映する「器」です。日当たりや通気性の悪い家に住む人は運も気持ちも停滞しがちですし、明るく風通しのいい家に住む人は運も気持ちもすこやかでのびのびしています。
 そういう事実を知ると、もう「適当な家でいいや」と妥協することはできませんね。次に暮らす家は、今よりもっとあなたを幸せにしてくれる家でなくてはなりません。そのことを念頭に入れておくだけでも、いい家が見つかる確率はかなり高くなると思います。
 
2012.03.03