人気(ひとけ)のない神社

 ゴールデンウィーク前日に観光地の神社へ。
 シャッターの降りた人気のない商店街を10分ほど歩くと、巨大な鳥居が出現。神殿に向かって一直線に参道が延び、空を覆う緑が美しい。
 参道の左右に広がる池には赤や白の鯉がけだるそうに泳ぎ、岩山に登ったカメが集団で甲羅干し。たまにちゃぷんと水の中にすべり込むものもいる。日に当たってぼんやりするのに飽きたのだろう。
 そういえば3、4年ほど前もここに来て、池をながめていたなと思い出す。そのときは友人が一緒だった。住んでいる土地や家の環境も、いまとは違っていた。
 今の環境は当時とまったく異なっているが、この神社とは相変わらず縁がつながっている。よく考えてみると、ちゃんと願いがかなっている。

 ふと気づくと、あたりには誰もいない。よく来たねでもなく、お前なんか知らないよでもなく、境内の空気は私を静かに包み込む。ありがとうございますとひとことお礼を言ってから鳥居をくぐり抜ける。 

 その晩見た夢。蓋つきの青いプラスチックのゴミ箱が目の前にある。なぜこんなものがここにあるのだろうと目を凝らしてよく見ると、ゴミ箱ではなく青い蓋をかぶった男の子である。
 大きくてはっきりした目。小さくてふっくらした身体。人間ではない。
 目が合うと、「あ、見つかっちゃった」というようないたずらっぽい目をした。
 はるばるここまでついてきたのか。いったい何しに来たのかとあれこれ考えながらまどろむうち、朝になった。

2009.04.29