戌亥天中殺のみなさんへ その4


全国の戌亥天中殺のみなさんこんにちは。
わたくし本宇宙船のチーフCA、乾ヶ浜戌枇杷(けんがはま・いぬびわ)でございます。後ろに整列しておりますのは本船のCAチームでございます。一同礼。(全員深くおじぎ)
大変長らくお待たせいたしました、これから最終ミーティングを始めます。みなさんお手を休めて船内ロビーにお集まりください。

・・・すでにお座りいただいているようですね、いつもと変わらぬポーカーフェイスおみごとです、いついかなるときも動じない屈しない虚心坦懐のクールビューティ、さすが戌亥天中殺のみなさん、あっぱれ至極でございます。

はい2018年立春から始まりました宇宙の旅、いかがでしたでしょうか? 
「あっという間でした」「いつもと変わりませんでした」「それほどたいしたことなかったです」。
方々から静かに声が上がりました、辰巳天中殺や申酉天中殺なら「最悪でした」「そりゃあもうひどいもんでした」「二度と体験したくありません」「麻婆春雨とニラ団子まだですか!?」と中華料理店の2階の宴会場のように騒々しいところがこちらのグループは真逆、お釈迦様が座る菩提樹の下のように静謐です。「宇宙の修行僧」「娑婆の北極星」「家系のカルマ請負師」と古来呼ばれるのもうなずけます。

戌亥天中殺とはそもそも家系のはみ出し者、親兄弟からの援助が期待できないという宿命をお持ちです。たとえ親兄弟が健在でも肝心なときに頼りにならない、支えてくれない、努力では埋められない隔たりがある。
そのため幼少期から心の中に孤独感をひっそり抱え、家族と仲良しの同級生や同僚を横目に見ながら成長してまいります。みなさんの頭の中は常に疑問符でいっぱい、「自分はなぜ生まれてきたのか」「血のつながりとは何か」「幸せと不幸せの違いは何か」「まわりの人たちは何が楽しくて笑っているのか」「自分はどこへ行けばいいのか」「ウーバーイーツに二郎系ラーメンを運んでもらったらどうなるのか」。

「目が笑ってない」「一見親しみやすいけど近づくとこわい」「きついことを最短距離でズバッと言う」「何を考えてるかさっぱりわからない」など、みなさんは脳天気な人たちから過去に何回言われたことでしょう? 
しかし気にすることはありません、人に媚びない、ウソをつかない、意に沿わないことをしないのは孤立無援の世界で誰にも頼らず一途におのれの魂を磨いてきたあかし、孤高の星=戌亥天中殺の勲章とお考えください。そのままの自分でこれからもいきましょう。

窓の外をご覧ください、ブルーマーブルつまり青いビー玉のようにキラキラ光る惑星が見えますね、みなさんの故郷、地球です。地球の人口は約75億人、みな今日も喜怒哀楽を経験しながらそれぞれ懸命に生きています。

なぜ、人はこの世に生まれてくるのでしょう? 
さまざまな解釈があると思いますが、そのひとつとして「お役目を果たすため」が挙げられます。
たとえば子丑天中殺なら「リセット&イノベーション」、寅卯天中殺は「前からあるものを引き継いでパワーアップする」、辰巳天中殺は「世界中を掘削してお宝を見つける」、午未天中殺は「今あるものを編集してブラッシュアップする」、申酉天中殺は「今あるものの種類を増やしてさらに繁栄させる」。
では戌亥天中殺は? はい「精神の高みを目指して周囲のお手本となる」。ほかの天中殺グループが力を駆使して物質世界を変えていくのに対し、戌亥天中殺は知恵と知識を駆使して精神世界を変えてまいります。いわばマジシャン、魔法使い、超能力者。性別年齢肩書きに関わらず戌亥のみなさんからどことなく神秘的な香りが漂うのはそういうわけなのです。

これから本船は地球に向かいますが、ここで今一度、ご自分のお役目をしっかり自覚なさいますように。
「人生はお金のみにあらず」「本当に大切なものは目に見えないし、お金では買えない」「目に見える世界は陽、目に見えない世界は陰。この世を動かすのは陰から」。
「お金さえ手に入れれば勝ち」という考え方がまかり通る今の世の中で、これらの真実を周囲に知らしめるのがみなさんのお役目です。
みなさんの武器は知恵、真心、愛。この3つはいくら使ってもなくなりません、不思議なことにむしろ使えば使うほど増えてまいります。どうぞ出し惜しみせず、地球に帰還されましたら四方八方に勢いよく放っていただきたく存じます。


それではここで船長からみなさんに向けた九星別メッセージをご紹介いたしましょう。カードはどこに・・・あっありました。
「ハーイ戌枇杷(いぬびわ)ジスイズミー、2年間の搭乗勤務お疲れさまでした」ってこれは次に出発する宇宙船子丑号のチーフCAからのわたくし宛メッセージカードでした、失礼いたしました。

気を取り直して船長からのメッセージつまり地球に戻ってからの心がまえをお読みいたします、ええとまず一白水星
「これから訪れるひとつひとつの変化を恐れないでください。それらはすべて、よりよい人生を歩むための大事な布石です」
二黒土星
「素直に自分を表現しましょう。人からどう思われるかなんて気にしてはいけません、自分の思いを言葉や文字、ふるまい、造形、記号などでそのまま形にしてください」
三碧木星
「頑張ってもちっとも進展しない、ちっとも解決しないならもう手放しましょう。見切りをつけた瞬間からあなたの人生は勢いよく前進し始めます」
四緑木星
「目の前に登場する人はあなたに必要な情報や答えを持っています。多少違和感や抵抗感があっても避けたり逃げたりせず、根気よく対峙してください」
五黄土星
「これから人生の新しいサイクルが始まります。未知の体験が増えるでしょうが大丈夫、目の前に出てくるハードルは必ず越えられます」
六白金星
「孤独に生きているように思えても、本当はひとりではありません。人のやさしさ、温かさを素直に感じて受け取ってください」
七赤金星
「これから起こることに無駄なことは何ひとつありません、すべてあなたに必要なことです。それが起こる意味を考えれば、人生がより味わい深いものになるでしょう」
八白土星
「自分より弱い人、悩んでいる人、困っている人にできる範囲で力を分けてあげましょう。あなたが持っているやさしさと温かさを堂々とアピールしてください」
九紫火星
「あなたはとても価値のある人です、だから自分を大切に。OKとNGを上手に使い分けて自分を守る技術を身につけてください」

以上、ご参考になりましたら幸いです。

それではみなさん、それぞれのお席に戻ってシートベルトを腰の低い位置でお締めください。お手荷物は前のお座席の下にお入れください。
ただ今をもちまして船内販売、映画上映サービス、写経・読経・レース編みのご指導などすべてのサービスを終了させていただきます。
どうぞ肩の力を抜いてリラックスされ、この気高く美しい宇宙の姿をしっかり目に焼き付けておいてください。そして世界は限りなく懐が広く、あなたの人生もまた限りない可能性に満ちているということを覚えていてください。

2年間という短い間ではございましたが、わたくしたちCA一同、みなさまとご一緒できましたことを心からうれしく思います。いたずらに人を頼らず、弱音を吐かず、氷のように冷たく清らかな世界でただひとり、はにかんだような微笑みを浮かべながら懸命にベストを尽くすみなさんをわたくしたちは心から誇りに思います。
今まだつらい、苦しいという方も、このシビアな宇宙旅行を耐え抜いたことに自信をお持ちになり、明日への夢と希望を胸に明るく元気に生き抜いてください。

本日の地球の気温は平年並みかやや高め、太平洋側ではおだやかに晴れておりますが日本海側では雨や雪、ところによっては雷の地域もあるようです。また世界的に新型ウイルス肺炎が流行っているようですので、十分にお気をつけください。栄養と運動、睡眠を十分にとり、帰宅されましたら手洗いとうがいをお忘れなく。まったく気にかけないのもいけませんが、心配しすぎはもっといけません。

業務連絡です。客室乗務員はオーバーヘッドストレージが正しく閉まっているか今一度確認してください。

最後になりましたが、船長からアナウンスがございます。では船長、どうぞ。
「船長です。みなさん長旅お疲れさまでした。本船はただ今より大気圏に突入いたします。少し大きな揺れが予想されますが、すべて一過性の現象ですのでご心配いりません。地球に帰還してからも半年程度宇宙酔いが続くことがありますが、重力に慣れるにつれ自然に回復しますのでご安心ください。
地球に到着してからも、みなさんの旅はまだまだ続きます。あなたらしいすてきな人生をお送りください。よい旅を。」

はい船長でした。多大なる拍手ありがとうございます。
また宇宙旅行中にメールをくださったたくさんの乗客のみなさん、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。みなさんおひとりおひとりの声が、わたくしたちCAの励みになりました。(一同深くおじぎ)

戌亥天中殺のみなさんに幸いあれ。愛のある豊かな人生になりますように。そしてこれからもうれしいことや楽しいことがたくさん起こりますように。
10年後にまたお会いしましょう。
Good Luck、Thank You。

戌亥天中殺のみなさんへ その3

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全国の戌亥天中殺のみなさんこんにちは。
わたくし本宇宙船のチーフCA、乾ヶ浜戌枇杷(けんがはま・いぬびわ)と申します。後ろにずらりと並んでおりますのは本船のCAチームでございます。一同礼。(全員深くおじぎ)。
大変長らくお待たせいたしました、これから船内ミーティングを始めます。みなさん年末でお忙しいとは存じますが船内ロビーにお集まりください。

はい気がつけば時代が令和に変わり早くも年の瀬、時のたつのは本当に早いものですね。戌亥天中殺のみなさんにおかれましてはますますご清栄のこととお慶び・・・あれっみなさん肩が落ち顔がげっそり青い、頬骨が浮いてまるで森と泉に囲まれたブルーシャトウにたたずむ貴婦人の幽霊のよう。
去年に引き続き今年はかなりの頻度で船が揺れましたものね、宇宙酔いになるのも当然です。ご希望の方には酔い止め薬、梅干し入り緑茶、黒コショウたっぷりのコンソメスープなどをお持ちしますので遠慮なくお近くのCAにお申し付けくださいませ。

本船が2018年2月4日に地球を飛び立ちましてから早2年弱、いかがでしょうみなさん大宇宙の旅をお楽しみいただいておりますでしょうか?
猛烈な勢いで飛来する宇宙ゴミの脅威下における人生トラブルの修復、煮ても焼いても食えない粗大ゴミのブラックホール投棄、話の通じない宇宙人との遭遇、さらにはおのれの精神世界に点在する八十八カ所霊場巡りなど各自ご多忙のことと思います。

しかしさすが「孤高の賢者」「切れ者」「精神の奇人もとい貴人」と誉れ高き方々、雨が降ろうが槍が降ろうが弱音も吐かずじっと我慢の子でございます。
もともと戌亥は「人を頼らない」「思い切りがよくダメなものはダメとスパッと割り切る」「一人の世界を重んじいかなるときもマイペース」「日常のささいなことからこの世の真理を悟る」「たまの楽しみはモンロワール」といった特徴をお持ちです。

例えば寅卯グループや申酉グループでしたら中身と外見が連結しているので「あ、調子悪いんだな」「落ち込んでるな」がひと目でわかりますがこちらの方々の場合は中身と外見が切り離されているので何を考えているのかよくわからない、いつもと変わらぬどこ吹く風でモナリザの微笑み、しかし心の中は前代未聞の豪雨、怒濤のハリケーン、情け無用の超極寒ブリザードということが少なくありません。
顔で笑って心で泣いて、心中お察し申します。

はいではこれから九星別に点呼を取ってまいりましょう、呼ばれた方は挙手願います。つらい方はそのまま道に倒れていてください。

★一白水星の方・・・遠い目でうっすら微笑んでいらっしゃいますね、戌亥名物「魂魄(こんぱく)遊離」でしょうか。
一白のみなさんは本来ならば今年は運気の波が春の海のようにおだやかだったはず、しかしここ大宇宙では非日常が日常を突き破ってしばしば次元が裏返ります。ひねもすのたりのたりかなとのんびりしていたら恋愛や友達関係で一発大波が到来し天地がひっくり返るほどの大騒ぎ勃発と。怒濤のうねりで人間関係が砕け散りましたと。
人間関係でトラブルが起こらない場合は金銭面でひと騒動あったかもしれません、お金には人の気が染みついていますから対人運と金運はあながち無関係ではないのです。人に好かれればお金に好かれ、お金に好かれれば人に好かれる、その逆も真なり。考えられる金銭トラブルはカードやペイペイ使いすぎて経済基盤が砕け散った、もしくはお金の貸し借りで仲良かった人との信頼関係が砕け散ったなどでしょうか。
今まで築き上げた基盤がこの2年間でもろくも崩れるということはその基盤そのものがバベルの塔であった、ゴッサムシティの摩天楼であった、歌舞伎町ホストクラブのシャンパンタワーであったということです。
いいのです崩れるものはさっさと崩れて一刻も早くゼロから立て直したほうがいい、ぐずぐず引き延ばす恋人はつき合う価値なし、心のひねくれた友達は別れて正解、お金の貸し借りはしないさせない関わらない、ポイントに目がくらむと使わなくていいお金を使って結局損をする、これらのことがわかっただけでも幸いでした。
人間関係は去る者は追わず、寂しくたって死ぬわけじゃありませんから放っておきましょう、縁があればそのうち戻ってきます。ただしお金が去ると人生が立ちゆかなくなる、武士だって食わねば力が入らない、最終的に入り用なのは友の慰めよりお金です。ここでいうお金とはカードのことではなく現金です。いつの時代も強いのは現金持ち、派手にカードを切るより地味にお金を貯めましょう。

★二黒土星の方、・・・お返事がありません。ああ船外に設置された超巨大ジェットコースターをお楽しみ中のようですね、お疲れさまです。長島スパーランドのスチールドラゴンや富士急ハイランドの新ドドドンパを軽く超える最恐絶叫マシンですのに、なぜか悲鳴ひとつ上がっておりません。これが申酉グループでしたら阿鼻叫喚の泣き叫びや金切り声が宇宙空間にけたたましく響き渡るのですが戌亥の場合は驚くほど静か、ときたま観音経や般若心経がかすかに漏れ聞こえるくらいです。
例えますならば戌亥の身体は洗濯機、心は洗濯物。脱水時に洗濯槽がどんなに勢いよくぶんぶん回転し揺さぶられようとも中身の洗濯物はただただ静かにされるがまま、体内から余分な水分が抜けるまで「日々是自然体」「なりゆくままに」「放っときゃいいじゃん」と冷静なのでございます。深刻な悩みもどこか人ごと、戌亥は自分を俯瞰できるのですね。そこらへんが凡人と異なるところ、いついかなる場合も外より内、皮より具を重視し、「人間とは何か」「幸せとは何か」「京王線新宿駅から高島屋までの最短ルートは?」など常にあれこれ思いを巡らせているのでございます。
二黒のみなさんはこのところ山あり谷ありのスリリングな日々を送っていらっしゃると思います、ええいいのですそれで。急勾配のレールの上を急上昇&急降下&超高速トルネード&問答無用の連続スピンを繰り返しながら猛スピードで疾走することで遠心分離作用が働き、余計なものが振り落とされ除去されてまいります。その結果過去10年間に溜まった心の垢や因縁が浄化され、身も心もすっきり軽くなるわけです。
つまるところ天中殺とは神の恩寵、神の庭に設置されたハイスペック絶叫マシンによる六根清浄。感謝を持って残りの日々も励んでまいりましょう。

★三碧木星の方、全身からにじみ出る波動がトランプ大統領のサインのようにトゲトゲしていますね、かなりストレスが溜まっているのでしょう。ここ大宇宙は地球とまったく環境が異なります、閉塞感があって思うように身体が動かないわほしいものはなかなか手に入らないわ360度ぐるりと張り巡らされた窓ガラスに映るのはただおのれの姿のみだわのシビアな世界です。
地球なら大地に癒やされ吹く風に癒やされ森に癒やされ海に癒やされて気分転換できるのですがここは宇宙、木火土金水何もない、宇宙を構成するダークマター=暗黒物質のヘンテコな圧に押されてストレスは溜まる一方です。
ストレスが溜まるとイライラもしくは鬱々が生じます、三碧の場合は陽性なのでストレスが外に向かいやすい、つまりイライラから来る対人面での衝突が多くなりがちです。「それってどういうことですか」「納得しかねます」「意味がわかりません」、言っちゃいけない相手に思ったことをそのままズバッと言うとどうなるか、はい「生意気」「礼儀知らず」「規格外」の烙印を押されて立場が不安定になります。
またプライベートでも「ずっと昔から同じコート着てるでしょう体型変わらなくていいなあ」「納豆包んでる藁(わら)みたいな髪色だね」「彼氏さん初めましてわたしミッコの親友です、ミッコ、この人前よりまともそうだねいやあ先代の彼氏はひどかったー」などとうっかり口にするのは御法度ですたとえ真実であってもです。口は災いの元、天中殺期間中は言いたいことを言う前に深呼吸して自分に待ったをかけましょう。イライラするときは部屋の掃除、特に床磨きやガラス窓磨き、ドアノブ磨きなどに集中すると驚くほどピカピカになりますのでぜひお試しください。

★四緑木星の方、ああがっくりうなだれて。お辛いですか? 戌亥の中でも猛烈にデリケート、まるでバカラのクリスタルガラスのようにみなさんは繊細です。ふだんはさわやかな笑顔の中に本心を秘めておられますがさすがにここ大宇宙では隠しきれない、内なる苦悩が重く胃に溜まってひどい猫背、くの字型に曲がっちゃってます。
心は器に入りますからまずはへそ下の丹田を締め、背骨を立ててまっすぐ伸ばし、左右の両肩を大きく開きましょう。そして深く深呼吸。うなだれるから肺も心もしぼんでしまう、顔を持ち上げれば肺も心も丸みを帯びて希望がふっくら湧いてまいります。
苦悩が大きすぎると誰かに頼りたくなる、すがれるものなら誰彼かまわずすがりたくなるのが人というものですが、戌亥グループはそれができません。なぜならみなさんは唯我独尊の星、「身内に頼ってもたいした応援は期待できない」「人に頼っても時間の無駄」「自分のことは自分で解決しないと身にならない」という真実を生まれながらに悟っておられるからです。
人間の初期設定は孤独、親子だろうが魂は別個、だから一人で考え一人で解決しながら懸命に生きていく。戌亥のひたむきに生きる姿はまるで修行僧のようにきりりと潔く、見る者の胸を打つのです。おのれをおのれで鍛えて内側から発する光の純度を高め、やがては周囲の希望の星、憧れの星になるのがみなさんの宿命です。
戌亥のみなさんが持つ精神エネルギーは強大ですので、いたずらに人を当てにしたり頼ろうとすると燃焼すべきエネルギーが不完全燃焼して地球に戻ってから運気が落ちやすくなるのでお気をつけください。
「困ったときは自分に頼る、それでもダメなら神仏に頼る」「胃が重いときは消化のいいものを食べる」。この言葉をしっかり心に刻まれますように。

★五黄土星の方、はいひと山越えたあとの味わい深いお顔ですね。
険しい冬山を越えてようやく人里にたどり着いたようなヌケ感のあるお顔でございます。鼻の頭や指先などところどころ凍傷で黒くなっておりますけども、地球に戻れば元通り再生するでしょう。ここに至るまでよく頑張りました、さすが「山椒は小粒でピリリと辛い」「涼しい顔してド根性」「ピョコン ペタン ピッタンコ」の異名を取る戌亥の五黄、みなさんの辞書に「つらい」「しんどい」「何もかも放り投げてバリとかハワイとかでのんびりしたい」の文字はありません。
人生とは 重い荷を背負って山道を登るがごとし、はい悟りを得た五黄ならではの発言おみそれいたしました。そうですね宇宙だろうが地球だろうがこの世はすべて修行道場、富士山地獄の特訓場、情け無用のブートキャンプなのでございます入隊おめでとうトレイニー諸君。
甘えや泣きごとを言わずここでの訓練に耐え、身につけた経験と実績を武器に宇宙と地球を股にかけこれからもしぶとく生きていくであろう硬派のみなさんにわたくしから申し上げることは何もありません。あなた方は世間の泥川をすいすい泳ぎ抜く強靱な精神力と実戦スキルをお持ち・・・おっとひとつだけ注意点がございます。
はい運の強い方の場合天中殺現象が身内にスライドする、つまり家族の誰かもしくはペット、植木などがとばっちりを食らうことがありますのでお気をつけください。自分はなんともないけどもしかすると家族に飛び火したかもと思い当たる場合は「自分の業を背負ってくれた」と考え、今まで以上に感謝の気持ちで接してあげましょう。

★六白金星の方、みなさんお洋服のファスナーが開きっぱ、ボタンもちゃんと止まってない、なんかヘン、しっかり者の六白なのに中身と外見がちぐはぐ、たぶん理想と現実が噛み合ってないのでしょう。
戌亥の六白は本来おのれの頭に装着した竿にぶら下げたニンジンを追い求めて突っ走る生きもの、だから「ここまでやればもういいや」という到達点、満足点がありません。常にそのときそのときの最上限を求めて坂道を上り続ける機関車やえもんでありトーマス、人一倍志が高くパワーもあるので調子のいいときは八面六臂の活躍を見せますが、いったん燃料が切れると気持ちに身体が追いつかず「こんなことではダメだ」「自分は甘ったれの根性なし」「気力と根性が全然足りない」「ホントはぽくぽく系が好きなのになぜねっとり系の芋を買ったのだろう」など自分を責めさいなむ傾向がございます。過剰な攻撃が自分に向かうと免疫寛容が破綻して体調を崩すことがあるのでご注意ください。
ここ無重力の宇宙においては身体の動きが制限されて思うように動けません、下手にもがくとくるっと裏目が出ます、なので頑張りすぎないことです。できない自分を責めさいなむのではなく「宇宙では理想通りに行動できないのが当たり前」「その理想が叶ったとして、本当に幸せになれるだろうか」「自分は世間一般の幸せの概念に縛られているのでは」などと自分に問いかけ、考えを改める柔軟さと自分を許す寛容さも必要かと存じます。
ファスナーを無理に引き上げたりボタンホールに合わないボタンをはめる必要はない、地球に帰還してしばらくすれば自分にぴったりフィットする新しい服が手に入るでしょう、それまでもうしばらくの辛抱です。「自分はこの服を着なければいけない」「ちゃんと着られなければ失格」などという考えにとらわれず、自分に似合うのは本当はどんな服なのか、じっくり鏡を見つめながらイメージなさってみてください。

★七赤金星の方、つば広の黒い女優帽に黒のロングコート、まるで女囚さそりに出てくる梶芽衣子みたいですね。さすが戌亥の七赤はおしゃれ上手で格好いい、常人離れした妖しい魅力が満載です。この宇宙でもさぞやおモテに・・・あっ「恨み節」を口ずさんでる、「にくい くやしい ゆるせない」ですか凄みがあって絵になるなあ。
はい今年のみなさんのテーマは「信頼ってなあに」でした。頭を悩ませていた一連の事件やアクシデントは、人から信用されるにはどんなことに気をつければいいか天から試されていたのです。
戌亥の七赤は本来世知に長け、おおらかでこなれてて垢抜けてるので同性異性問わずたくさんの人から慕われます、しかしここ宇宙では長所が短所に裏返りやすい、おおらかさはアバウトさに、こなれてる感はいい加減感に、垢抜けたセンスは「変わってる」に転じやすいのです。結果「口と腹が違う」「誠意がない」「浮きすぎて肌なじみが悪い」などと言われ、人が離れてしまったのではないでしょうか。
何年もかけてコツコツ築いた信用も崩れるときは一瞬、再び構築するにはかなり時間がかかります。「裏切りやがって」「手のひら返しやがって」「あてにしてたのに」と再び恨み節に戻っちゃいけません、それ逆恨みです。人を恨む前にまず自分を反省しましょう。ではここで一から出直すためのコツを3つお教えいたします。
ひとつめ、時間と約束を守る。特に仕事は先んずれば人を制す、お得意さんから13時と言われたらランチをはしょってでも12時50分には待ち合わせ場所に到着しましょう。ふたつめ、人の悪口を言わない。人の悪口言ってるときの自分の顔を鏡で見てみましょう、そういう顔の人を信用できますか? みっつめ、すぐに見破られるウソをつかない。本気でつくウソはバレませんがその場しのぎのウソはバレる、相手は同調したふりをしても陰で「あの人は信用できない」とささやかれることになります。
以上3点を心に留め置き、来たる2020年は恨み節より東京五輪音頭を景気よく歌い踊りながら明るく楽しくまわりの人たちとコツコツ信頼関係を築いてまいりましょう。

★八白土星の方、ちょっと息苦しそうですね、イモータンジョーのマスクの中、白鵬のまわしの結び目、恭子お姉さまのドレスの胸元に押し込められたようなご気分ですか? では船内の酸素率を少し上げましょう、クールダウン用の首かけ扇風機が必要でしたら遠慮なくお申し出ください。
はい落ち着きましたか、八白はこのところ閉塞感と重圧感で息もできない状態でしたものね、休みたくても休めない、逃げたくても逃げられない、まるでコンビニの店長や中間管理職のような状況がずっと続いておりました。そんなきっつい環境でよくここまで頑張ってきましたね、さすがは戌亥の八白、泣き言を言わず石の上にも三年でございます。
世間には「置かれた場所で咲きなさい」という考え方と「吉方位に逃げなさい」という考え方がありますが、時と場合によります。ここ宇宙での推奨は前者、宇宙に方位はないからです。たとえ逃げてもいつの間にかこの船内に戻ってしまう、ならば無駄なことはせずのんびりキューピーに着せる服を編んだり山のようにたまったポイントカードを1枚1枚カードホルダーに入れて整理するほうがましというものです。
逃げの引っ越し転職投資ギャンブル結婚恋人のお取り替え巌流島の決闘など思い切った大仕事は地球に戻ってからにいたしましょう、狭苦しくても窮屈でも配置された場所でそのまま踏ん張ることで逆にあなたを閉じ込めていた縛りがひとつずつ外れていくのです。
みなさんには宇宙旅行特別記念品といたしまして「忍耐」「我慢」「辛抱」と極太の筆文字で刻印された飯椀、扇子、巾着財布、木刀などをご用意させていただきました。のちほどCAがワゴンを押してまいりますのでお好きなものをお選びください。

★九紫火星の方、あれっお姿が見えませんもしかすると船の底に潜り込んでいらっしゃるのでは・・・はい大当たり、全員「失意のどん底」で倒れていらっしゃいますだだっ広い岩盤浴で雑魚寝してるみたいですね。
いいとこまで行っては足もとがガラガラ崩れ、今度こそはと思って力をふり絞ってもなぜか元の木阿弥、天は我に味方せず、わたし何も悪いことしてないのにどうしてこんな目に遭うの、努力してるのにひとつもいいことないじゃない。
天を恨んで地下に潜りたくなるそのお気持ち、わかります。たしかに人生には頑張りがなかなか実らないときがございます、時の運が味方していないのですね。しかしそこでいじけてすねて腐ったら負け、志も誇りも高い戌亥の九紫の名がすたります。
さあ目いっぱい脱力したらそろそろ立ち上がりましょう、そしてこれから開運の努力です。運はいざというとき身を助く、同じ実力なら運の強い方が必ず勝ちますからね。
運には3つの種類があります、時の運、人の運、そして天の運です。
ひとつめ、時の運を味方につける最も簡単な方法は暦を活用することです。暦とは大自然のバイオリズムを示す書、四季折々の行事を楽しんだり「今日は○○の日」と自覚しながら暮らすことで大きな流れに乗れ、ズレたタイミングが修正されます。
人の運を味方につけるには人の気持ちを思いやることです。自分がされていやなことは人にもしない、されてうれしいことは人にもしてあげる。この積み重ねで徐々に「人気」を身体にまとえるようになります。
天の運を味方につけるには神さま仏さまに好かれるよう努力することです。自分を生かし見守ってくれる見えない存在に頭を下げ手を合わせる。そういうのよくわかんないという人はまめに家を掃除するだけでもいいでしょう、身辺がきれいになると心がきれいになって人から好かれやすいうえ神仏からも応援されやすくなります。
そうやって天、人、地(時)3つの運を味方につけることができれば自然に身体が奈落の底からふわっと持ち上がり、上昇気流に乗れるようになります。

はい少し長くなりました、静かに寝息を立てておられる方もいらっしゃいますね、いえいいのですそのままにしておきましょう、2年近くの長旅で疲れていらっしゃるでしょうから。宇宙は地球と環境が異なりますので気力と体力が消耗しやすいのです。
地球に戻ったらまた切磋琢磨の日々が待っています、それまではしばし船内でご自由におくつろぎください。

窓の外に地球が見えます、万華鏡のようにキラキラ光っておりますね。あの青い輝きは地球が生きていることの証(あかし)、光の破片をどんどんズームアップしていくと一人ひとりの人生が見えてまいります。みんな一生懸命頑張ってそれぞれの命を燃やしていらっしゃる、人が生きる姿というのはそのとき歩いているのが山であろうと谷であろうと俯瞰して見るとすべてひっくるめて美しいのです。

生きるということは時間を与えられるということです。それまで無であった魂に光が当たり「生きてごらん」と持ち時間が与えられる。
持ち時間は人によって異なりますが、ただ長ければいいというわけではありません。肝心なのは時間の長さ=量より質、いかにたくさん体験を積んだか、喜怒哀楽を味わったか、脳と心をぐねぐねこねくり回したか、真実を悟れたか、どれだけ人の役に立ったかが問われるのでございます。
最後の最後に「ありがとう」が内面から自然に出てくるならばそれまでどんなにつらかったとしてもその人生は生きる価値があったといえますし、もし誰かから「ありがとう」と言ってもらえたならその人生は十分に有意義であったといえるでしょう。

人間の一生ははかないもの、10代20代30代のころは人生は永遠に思えますが40代50代になると何となく先が見えてくる、60代に入ると死が山を越えて近づいてまいります。しかし戌亥のみなさんの場合はそこからが本番、なぜならみなさんは人生後半でじっくり咲く花であり、「ここからこんなにきれいに咲けるんだ」「味わい深い花だなあ」と見る人たちに希望と勇気と感動を与える使命をお持ちだからです。
今が絶不調というのはこれから絶好調に移り変わるサインです。どうぞ自信をお持ちになり、夢多き人生を歩まれますように。

・・・はい、こんな感じです。
みなさんお腹空きましたか、クリスマスはスペシャルメニューのバイキングを用意しております、お飲み物や各種ケーキも食べ放題、ディナーショータイムはCA有志によります皿回しや空中アクロバットなどの上海雑技、ゴスペルミュージカル、アルゼンチンタンゴ、インド大魔術、心鎮まるレース編み教室などを予定しております。みなさまお誘い合わせのうえふるってご参加ください。

業務連絡です。客室乗務員はドアモードがアームドになっているか今一度確認してください。
それではみなさん、引き続き安全で快適な空の旅をお楽しみください。
地球帰還は2020年2月3日を予定しておりますが、お抱えの案件によっては突然の大揺れも予想されます。お席をお立ちになるとき以外は念のため腰の低い位置でシートベルトをお締めください。

Good Luck、Thank You。
すてきな年末年始をお迎えください。よい旅を。

戌亥天中殺のみなさんへ その2


全国の戌亥天中殺のみなさんこんにちは。
わたくし本宇宙船のチーフCA、乾ヶ浜戌枇杷(けんがはま・いぬびわ)と申します。後ろにずらりと並んでおりますのは本船のCAチームでございます。一同礼。(全員深くおじぎ)。
早いもので前回のミーティングからちょうど1年たちました、スパンが少し長すぎましたことをお詫び申し上げます。そのぶん濃ゆい内容のミーティングにしてまいりますのでどうぞご了承くださいませ。

さて本船の名称は「宇宙船戌亥号」、戌亥天中殺グループ専用のシンプルで質実剛健な宇宙船。本船は12年に一度、戌年と亥年の2年間に限り大宇宙を運行しております。みなさんには2018年2月4日よりご搭乗いただいておりますがいかがでしょうか宇宙ライフを満喫しておられますでしょうか? 
はいみなさんさりげなくうなずいたのかうなずいてないのか微妙な線で上手にやりすごしましたさすがです。
このグループの特徴は「24時間365日心の中で座禅している」「グチを言わない」「目に見えるものより見えないものを重んじる」「現実の地平線から30センチほど浮いている」ものごとの核心を突くのが得意」「思ったことをズバッと口に出す」「禁句という文字が辞書にない」「確固とした信念があり、いついかなるときもブレない」「餅菓子が好き」などです。
よく言えば凡人離れしてカリスマ性がある、悪く言えば取っつきにくい、正直過ぎてこわい、いかなるものにも動じない。陰に偏った戌亥はバットマンのジョーカー、ハンニバルレクター、シャイニングのジャックトランスなど無敵の悪役となり、陽に偏った戌亥は高僧、大司教、ココロのボス、みんなの希望の星として天高く輝きます

戌亥天中殺とひとくちに申しましても全員がまったく同じタイプというわけではありません、生年月日から導き出す「干支番号」によってさらに細かく見ていくことができます。干支番号とは地球に生まれ落ちるときに宇宙から与えられる背番号のことで専門用語では日干支、ここに乗船していらっしゃるのは日干支が1番から10番までの方々です。ではそれぞれ簡単にご説明してまいりましょう、ちなみにご自分の背番号につきましては各自ネットでご確認ください。

トップバッター背番号1番の別名は甲子(きのえね)、クールな切れ者でマイペース、アタマもよければ行動力もある、無から有を生み出すハイパースキルを備えており、どこにも属さない唯我独尊の強さをお持ちです。
2番は乙丑(きのとうし)、見た目まるで食パンのようにソフトですが奥底には強烈な自我がありやるときゃやる、この人が本気になったら相手が誰であろうと引きません、最後まで粘って粘って粘り勝つでしょう。
3番は丙寅(ひのえとら)、明るく伸びやかで愛嬌があるので人目をひき、異性同性問わずモテます。フットワークが抜群でほしいものはバシッとつかみますが関心がなくなるとポイッと手放すむら気な一面もあります。
4番は丁卯(ひのとう)、快活で世渡り上手で正直なので人から好かれますがわりと気分屋、その場のなりゆきでコロッと考えを変えることがあります。言動に責任を持つよう心がけると開運します。
5番は戊辰(つちのえたつ)、超頑固でゴーイングマイウェイ、精神的にタフでしぶとく思い込んだらてこでも動きません。ありあまる激しいパワーはしっかり燃焼させる必要があります、力を持て余すくらいなら世のため人のために使いましょう。
6番は己巳(つちのとみ)、セクシーで魅力的ですが気性が激しいです。好きな人ときらいな人がはっきりしていて、ときと場合によっては激しい戦いも辞しません。特に身内と争いが生じることがあるので注意が必要です。
7番は庚午(かのえうま)。誇り高き騎士。見た目はクールですがプライドが高く、自分の誇りを傷つけられると鋭い剣をふりかざして戦います。ですが信頼する身内には深い愛情を注ぐでしょう。
8番は辛未(かのとひつじ)。ものごとを達観していて、いぶし銀のような魅力を持っています。洗練されたセンスと審美眼を持ちますが人間関係で束縛されるのが苦手で、独身を貫く人もいます。
9番は壬申(みずのえさる)。協調性があり、どんな環境にもなじめます。自分を周囲に合わせるのが得意ですが内面は意外に繊細でデリケート、安易に人を踏み込ませません。持ち前の好奇心と向上心を活かせば成功するでしょう。
10番は癸酉(みずのととり)。一見おだやかでにこにこほんわかしてますが頭の中では超高速で演算処理しています。「計算高い」「実は勝負師」という噂もありますが基本は面倒見のいい情の深い人です。

・・・はいここまでよろしいでしょうか。
同じ戌亥という船に乗っていても生年月日によって個性は千差万別、さらにそこに宿命中殺だの三業干支だの異常干支だの祖父母や親から受け継いだDNAだの育った環境だの住んでる家だのだのだのだのーんが加味されてこの世にふたりとないあなたが存在するわけです。
どの人も必然性があってこの世に生まれてきた、何かしらの役割お役目クリアすべき課題があって生きている、見方を変えれば生かされている。だからわたくしたちは命ある限り前向きに懸命にひたむきに生きなければなりません、あなたを生み出したのは宇宙の意志、マザーアースならぬマザーユニバース、あなたがいなくては宇宙の調和は成り立たないのです。
調和なんか全然してないじゃんと思う方もいらっしゃいますか、では窓の外の地球をごらんください、青く輝いておりますでしょう? ミクロの目で見ればあちこちくすんではいてもマクロの目で見ればひとつの球体としてきらきら完璧に光っている、細けえことは置いといて地球という球はこの暗黒の大宇宙において明るく美しくハモりながらひたむきに輝き回転している、そのハモりの重要な一員としてあなたが選ばれました。 

・・・少し冷えてまいりましたね、温かいお飲み物をご用意いたしましょう。CAがおそばにまいりましたら遠慮なくお好みのものをお申しつけくださいませ。コーヒー紅茶梅昆布茶、麺なしのラーメンスープ塩・味噌・醤油・背脂チャッチャ系もございます。

さてみなさん2018年戌年はどんな年でしたか?
「人間関係でさんざんな目に遭いました」「長年のパートナーと訣別しました」「お金の貸し借りでもめました」「会社がつぶれました」「病気やケガが多かったです」「森を散策していたら玉虫色のマントの人がいたのでポットの紅茶とクッキーを分けてあげたら聞いたことのない言語で何か言いました」。
トラブルが人間関係に出るか金銭面に出るか身体に出るか精神面に出るかは同じ戌亥グループでも人によって異なります、簡単に言うとその人の最も弱いところに出るのです。いずれにしても天中殺中のトラブルは「その人がクリアしなければならない課題」ととらえ、原因の掘り下げと対策が必要です。宇宙にいる間にこれをやりませんと、地球に戻ってからも同じ問題がスケールを増しながら繰り返し起こるでしょう。

気をつけたいのは身体のトラブル、戌亥のみなさんは見た目はタフでもひとりでじっと考え込む習性があるのでストレスが内側に溜まりやすく、知らないうちに体調を崩すことがあります。頭が痛いのはひとつの考えに固執しているから、のどが詰まる息がしにくいのは言いたいことを言えないから、胃が痛いのはものごとを消化できないから、便秘は思いを溜め込んでいるから、下痢はプレッシャーがきつすぎるのが原因かもしれません。また「こんな自分が大きらい」「ばかばか自分のばか」などと常に自分を責めさいなむと自己免疫疾患を引き起こしたり、ひとつの思いに頑固にずっととらわれていると高血圧や不整脈など循環器系に支障を来すことがございますのでお気をつけください。病気とは「これちょっと改善してもらえませんか」「身体に負担かかってるんですよね」という自分の奥底からのサイン、いったん身体に出た病気は根性や克己心では治りません、重くなる前に病院へGO! でございます。


ではこれから九星別に点呼を取り、今後の傾向と対策をお伝えしてまいりましょう。呼ばれた方は挙手願います。

★一白水星さん、お顔に余裕がありますねさすが戌亥の一白順応性が高い、無重力の船内でくるくる回転したり縦横無尽にすいすい平泳ぎしたりけっこう楽しそうですね。実は2019年の一白水星は「人生の喜び」の席に座っていらっしゃいます、しかしここは地球ではなく宇宙、無重力の世界では「いつものカンが働かない」「こうしたいと思ってもなかなか思い通りにならない」「ブレーキもアクセルも効かず暴走しやすい」「踏ん張りがきかない」「ものごとが裏目に出やすい」になりがちです。
特にお酒の席では暴走しやすいのでお気をつけください、1杯が2杯、2杯が3杯になって1本空いちゃった、マスターもう1本持って来ていいの大丈夫これくらい全然平気と強引にボトルを奪って飲み始めた時点で記憶が消えている、翌朝会社に行くと周囲の目がなんだか白い、どころか後ろ指もさされてる、そのうち組み合わせた指の上にあごを乗せたジョージクルーニー似の部長から「きみ昨日やったこと覚えてる?」と憐れみの目で話しかけられるわけです恐ろしいですね。
恋愛や人間関係も自分と相手の間に誤差が生じやすい傾向、「はいこれ誕生日プレゼント、オーボンビュータンのプチフールセック、ほしいって言ってただろ」「私が言ったのはオーブンレンジのヘルシーシェフ!」、そんな誤解曲解早とちりがたび重なってしまいにゃ「わざとやってるでしょう」と冷たい目で見られるおそれ、聞き間違い言い間違いの裏には自分の願望欲望が隠れています、「人生の喜び」が一転して「人生の哀愁」にならないようお気をつけくださいませ。

★二黒土星さん、ああふて寝してる。おーい起きてくださいーい今ミーティング中ですよー。お気持ちはわかりますたしかにうだつの上がらないもとい波風ひとつ立たないぬる〜い日々がずっと続いておりますものね、さあこれから面白くなるかもだぞと思った矢先にいきなりものごとが尻切れストップ、その後来る日も来る日も無風状態つまり停滞してむなしく時間が過ぎていくばかり、「これ放置プレイですか」とあせっていらっしゃるのではと存じます。
ええいいのですそれで、解消中断打ち切りは新しい展開を迎えるために必要不可欠な階段の踊り場、ここでひと息ついて茶ぁでも飲みながらじっくり次のステップの構想と作戦を練りましょう。人生は長い、あせることはない、過去の栄光や未練は潔く断ち切り次に何をするかこの宇宙空間でゆっくりお考えください。
「続きをやらなければ」「とにかく何かしなければ」とあせって無理やり自分から働きかけると時間とお金と労力のむだになりやすい、日々の生活をきちっと営みながら無心に過ごしていればそのうち向こうからお声がかかってくるでしょう。
すでにひと足早くお声がかかっている二黒もいらっしゃいますね、みなさんの本体はここにありますが地球上で東奔西走しているホログラムが見えます。「こんなに忙しくなるなんて聞いてない」「どうして私がこれをやるのか意味わかんない」などとグチをこぼさず与えられたお役目をまっとうされますように。
戌亥の二黒は停滞中の方ご多忙中の方真逆のパターンにぱっきり分かれるかと存じますが、どちらさまもあせらずマイペースを保ちましょう。

★三碧木星さん、ちょっと元気がないですね、ああ人間関係で悩んでいますとお顔に書いてありますね。味方だと思ってたら裏切られた、よかれと思ってアドバイスしたらよけいなお世話とはね返された、敵がとうとう宣戦布告してきた、仲のよかったグループからランチ誘われなくなった、うーんそれはお辛いでしょう。
三碧は今年「別れと出会い」のお席に座っていらっしゃいます。出会いの前にまず別れがくる、クローゼット内の不要な服を捨てるとその後もっといい服が手に入る現象と同じですね、開運学では「いらないものを手放せ、もっといいものが手に入るから」と申します。
会っても楽しくない相手、平気で礼を失する相手、大事なことをうやむやにする相手、違和感を感じる相手、じゃあねと別れた瞬間にもやもやする相手は異性同性問わず縁が切れかかっている可能性が大、頑張ってつき合ってもエネルギーを消耗するだけなので少し距離を置いてみる、いっそもう会わないほうがベターかもしれません。
もともと戌亥の三碧に「寂しい」という文字はない、終わった関係にしがみつくより風の吹くまま気の向くまま身軽にあちこち飛び歩いているほうがいいのです。「人間関係は川の流れのように変化する」「無理に人に合わせるより自分の好きにやるほうがストレスは少ない」「友達はいいもの、でもいなくても支障はない」、この3本のフレーズを脊柱にさし込み、背筋をスッと伸ばして堂々と人生をお進みください。

★四緑木星さん、ああ迷いに満ちたお顔をしていらっしゃる、この先が不安ですか? 悩みや心配ごとでなかなか寝つけずやっと寝たと思ったら夜中の2時3時にクワッと目が覚める? ああどうしよういったいどうすればいいのかと悶々と自分と戦いながら真っ暗な窓を見つめてるうち新聞配達のスクーターの音が聞こえてきますか?
・・・だいじょうぶすべて気のせい色即是空、あなたを取り囲む世界に実体はありません、気持ちが形になって映像を結んでいるだけです。人の気持ちは常に変化するので目の前の映像も刻々と変わります、ほらお天気と同じ、しばらくしてから空を見上げると雲の形が変わっていたりいつの間にか消えたりするでしょう? 女心と秋の空って言葉がありますけども人の心って空と一緒なんですね。どんなに重苦しい暗雲が垂れ込めてもその上では常に明るい太陽がさんさんと温かい光を放っています、ですから今あなたがどん底の気分を味わっているとしてもそれで終わりじゃない、もうちょっと待てばじきに晴れてくるのでご安心くださいませね。
はいこの先の心がまえは「どうせ同じ一日を過ごすならくよくよ悩むよりあはははと笑って過ごせ」。無理やりでもやけくそでもいいのでとにかく声出して笑う、鼻で笑うのではなく口開けて笑う、笑ってるうちにまわりの風景の輪郭がちょっとずつ変化してまいります、たとえばスーパーで赤ん坊にニコッとされたり駅の改札で落ちましたよお嬢さんとイケメンがハンカチ拾ってくれたりキミやればできるじゃないかと強面の上司からほめられたり通りすがりの犬や猫や鳥から甘えられるなどすてきなことが起こるでしょう。すべては気の持ちよう、さあ今日から笑顔の練習です。

★五黄土星さん、はい。さすがは泣く子も黙る戌亥の五黄、天中殺の後半に来てなお揺るぎない重鎮感とお前ら雑魚に用はない的な圧倒感、どきなさいよ私の行く手ふさぐとケガするよ的な尊大感が満載です。しかしよくよく見ますと目の下頬の下あごあたりにコンシーラーでは隠しきれない疲労感がにじみ出ていますねお疲れさまです。
みなさん去年は大忙しでしたね、パワー120%出し切って頑張りましたが正直言って手応えは今ひとつ、「あれっ自分何か間違えてる?」とめったにしない反省をするものの答えが見つからなかったことと存じます。いいのですそれで、たとえ結果がついてこなくても汗水垂らして懸命にパワーを燃焼させることがこの時期は大切、それによって過去10年間にこびりついた業、垢、厄が焼かれて心身が清まるのですから。
問題なのはここにきてひとつも疲れてない五黄、いつもと変わらぬ五黄、日々是安泰な五黄、つまり去年1年間を淡々と過ごしてきた五黄です。せっかくここ大宇宙で地球にいる自分の姿を客観的に眺める時間があったのに今まで何しとったのあんた、ここで厄落とししなかったら今後10年身体重くてしゃあないで、地球に帰ってから歩くのも走るのもしんどいしいざというときジャンプできひんよみたいなことになりがちです。今からでも遅くありません、やるべきこと、やらなければならないことに着手してパワーを燃やしましょう。幸いこれから徐々にやる気が復活してきますよ、もちろんいつもと異なる環境にいるので無理は禁物ですが自分を信じて明るく元気にまいりましょう。

★六白金星さん、はい死線を越えて崖から這い上がった者だけに与えられるヌケ感と力強いすがすがしさを放っておられます。猛吹雪の北の山脈から鬼だらけの裏鬼門越えてようやく日の当たる丘にたどり着いた、今そんなお気持ちでしょうか。
ふと自身をふり返るとたぷたぷしてた腹のぜい肉が落ちて筋肉が8つに割れている、上腕三頭筋から上腕二頭筋にかけてしなやかな筋肉がついている、さらによく見れば大臀筋から大腿四頭筋、下腿三頭筋に向かって力強い曲線が走っていることでしょう、分厚い! バリバリ! 土台が小田原城! そんな声があちこちから聞こえてきます。
今のところ戌亥のなかで六白のみなさんが最も気力体力に満ちフットワークもいいですがなにせここは宇宙、地面を蹴って走ってるつもりでも端から見ればふわふわ浮いて空回りしてるだけ、本気出すのは地球に帰還してからと心得て今はコツコツ筋トレに励みましょう。身体の筋トレはもちろん心の筋トレも忘れずに、「先輩を敬う」「同僚と仲よくする」「後輩にやさしくする」「お年寄りに席を譲る」「困っている人がいたらできる範囲で助けてあげる」「改札口で前がつかえてもイヤな顔をしない」「香りの強すぎるハンドクリームを待合室ですり込まない」「せきやくしゃみはドラキュラスタイルで」「コストコの駐車場は無法地帯」など日々自分に言い聞かせ、今後ともより強くより美しくブラッシュアップしてまいりましょう。

★七赤金星さん、はい。チャーミングな笑顔にほんの少し困惑した表情が混じっていますね、本来ならば今年は人生が楽しくなる星まわりですがここ宇宙ではパルプンテが発動して裏目に出がち、人知れず気苦労が多いのではないでしょうか。
人の悩みは人間関係お金健康の3つに大別されますが最も多いのが人間関係、AさんがうっとうしいBさんが目ざわりCさんが気に入らないDさんが意味わからないなどZさんを越えてもなお延々と続きます。
世の中はどうでもいい人6割、苦手な人3割、好きな人1割が相場、しかし苦手な3割といちいち争っていては身が持たない、じゃあどう折り合いをつけるのかというところでみんな悩んで大きくなるのですね。
戌亥の七赤は人間関係において基本手練れなので好かれる確率が高い、たまにきついこと言っても愛嬌あるし何でもよく知ってるし座持ちが巧みだから一緒にいて楽しいというわけであちこちから人が寄ってくる、しかし大勢の人が寄ってくるということはいい人もいれば悪い人も寄ってくるわけで、イヤな目に遭う確率も当然高くなります。にこにこ寄ってくる人が必ずしも味方とは限らない、もしかすると笑顔の裏に嫉妬や悪意などひねくれた感情を隠しているかもしれません。
余計な勘ぐりをしないのが七赤の長所ですが今年は油断禁物、特に初対面の相手やネットで知り合った相手は簡単に信じないが吉、「人の本心は言葉でなく行動に出る」とキモに銘じて観察力をみがき、慎重に冷静に行動しましょう。

★八白土星さん、うわっムンクの叫ぶ人みたいなお顔になっていますね、ある意味こちらのみなさんが最も天中殺っぽいといいますか前門の虎後門の狼畑中葉子の後ろから前からどうぞ、易でいうところの沢水困(たくすいこん)もしくは水山蹇(すいざんけん)で四方八方逃げ場なしという状態でしょうかお疲れさまです。
天中殺の別名は「毒出し」、体内から毒素や老廃物を排出してピュアな心身を取り戻しましょうという宇宙の粋な計らいと申しますか恩恵とお考えください、決して忌むべきもの、恐れるものではないのです。
人生のサイクルはほぼ10年単位でらせん状にぐるぐる上昇していきますがさすがに10年生きてるとさまざまなものが溜まってまいります、心という器の中にシミ黒ずみ茶シブなどが付着するのでございます。日々入浴しようが部屋をきれいに掃除しようが神社参拝しようがこれはなかなかすっきり落ちません、じゃあこの頑固な汚れを2年間つけ置き洗いして除菌消臭漂白しちゃいましょうという12年に1度の塩素系の日々、これを天中殺と呼ぶのです。
みなさんだいぶアクが抜けてお顔に透明感が出てきましたね、汚れのないピュアな素肌を取り戻すまであと少しの辛抱です。これからプライベートオフィシャル問わずいろいろな方面から理不尽なことを言われたりああせいこうせいと意に添わない指図を受けたり余計な仕事を押しつけられるなどあまり愉快でないことが起こるかもしれませんが腐らない、気にしない、あきらめない。すべておのれを磨くための研磨剤、この人は私のためにあえてキッチンハイター役を買って出てくれたのだと感謝して「この試練をありがとう」、そんな心づもりで今後ともデトックスしてまいりましょう。

★九紫火星さん、ああっ叩かれてる叩かれてる出る杭が叩かれている。お辛いでしょうせっかく頑張ってレベルを上げたというのにボコボコ叩かれて。でもレベルが上がるということは幸運の規模が大きくなると同時に不運の規模も大きくなるということ、ほらゲームでもステージが上がるにつれてボスもだんだん強くなりますでしょう、レベル5にはレベル5のボス、レベル10にはレベル10のボスが待っている、それと同じです。
人生って「上に行けば無条件に幸せになれる」という単純なものじゃない、上に行けば行くほど試練のハードルもまた高くなると思ってください。そうやってひとつひとつクリアしながら器を広げ最終的にどのレベルまで行けるかが勝負、三途の川渡った先で「頑張ったじゃん」「大きくなったじゃん」と拍手で迎えられたいなら現世で頑張るほかありません。
さてあなたが叩かれるには2つの理由があります、ひとつめは愛のムチ、ふたつめはご自身の言動です。「そこまで叩かなくてもいいじゃん」とすねる前にここらで少し過去の行いをふり返ってみましょう、おごり高ぶり上から目線が少しでもありませんでしたか? 「コンビニ行くならついでにコーヒー買ってきて熱々の肉まんピザまんカレーまんも、寒いから早くね」「あなたのために言うけどそのメイクと髪型、半魚人みたい」「頭も顔も今ひとつだけど性格はいいよね」。
戌亥の九紫は目から鼻に抜けてそのままスルッと歯に衣着せぬもの言いをしがちですがそれによって角が立つことも少なくありません。発言前にこれ言ったらどう思うかなと相手の気持ちになって考えてみる、そんな心の余裕を持つようにすれば叩かれる回数も徐々に減ってくるでしょう。

・・・はい、こんな感じです。
2018年立春に地球を旅立ちましてから1年、本船は予定通り順調に運航しております。
この先のフライトもしっかりお楽しみいただけますようさまざまなイベントが用意されております。去年1年間で人間的にどれだけ成長したかを測る抜き打ちテスト、頑固な茶シブがなかなか落ちない方には高圧洗浄、弱い自分から強い自分へと導いてくれる鬼軍曹の登場、真っ暗闇の迷路をおのれの心のともしびを頼りに脱出するチャレンジングゲーム、すごく重い荷物をかついで坂を延々と上るゴルゴダの丘のぼり、さあこれでもかとたたみかけてくるトラブルの舞い踊りなどバラエティに富んでおりますのでどうぞご期待くださいませ。
だいじょうぶ、みなさんならすべてのイベントをクリアできるでしょうし、試練を越えたあかつきには人としてひとまわり大きく強く美しく成長していることでしょう。

この先多少の揺れが予想されますのでシートベルトを腰の低い位置でしっかりお締めになり、手に余る手荷物は座席の下に置くか頭上の収納棚にしまう、もしくはブラックホール行きのゴミ運搬船に乗せて永遠におさらばしてください。
ご気分のすぐれない方には船酔いの薬、鎮痛薬、ツボ押し棒、ヨン様の微笑みに出会える冬のソナタ全巻セット、神社のお札などのご用意がございますので遠慮なくCAにお申しつけくださいませ。

本船の地球帰還は2020年2月3日の節分を予定しております。2018年を無事に越えてきた方もあまり上手に越えられなかった方も気持ちをしっかり引き締め、後半の1年を楽しく有意義に過ごしてまいりましょう。
それでは引き続き安全で快適な空の旅をお楽しみください。次回ミーティングでまたお目にかかりましょう。一同礼。(CA一同深くおじぎ。)
Good Luck、Thank You。

戌亥天中殺のみなさんへ その1


全国の戌亥天中殺のみなさんこんにちは。
わたくし宇宙船戌亥号のチーフCA、乾ヶ浜戌枇杷(けんがはま・いぬびわ)と申します。後ろにずらりと控えておりますのは本船のCAチームでございます。
一同礼。(全員深くおじぎ。)

船内とても静かですねまるでお寺の本堂のよう、さすが戌亥グループは「精神世界の旅人」「心の放浪者」「涅槃の住人」と呼ばれるだけあっていついかなるときも冷静沈着、知らないうちに地球からこの宇宙に移動したというのに凛とした表情で落ち着いていらっしゃいます。
そもそもみなさんは地球で生活しているときも「自分はなぜここに生まれ落ちたのか」「生と死の違いは何か」「唐揚げは塩味と醤油味どっちがおいしいか」など深遠なテーマを巡り常に自問自答しています。生まれながらに「思索の人」「哲学の人」「ロダンの考える人」なのですね浮き世離れしていてカッコいいです。

・・・ようこそ本宇宙船へ。これから2年間に渡り、本船はみなさんを無限の大宇宙へご案内してまいります。
とは申しましても第三者から見ればみなさんはいつも通り地球上で仕事をしたり家の掃除をしたり「今朝も寒いなあ」とつぶやきながら洗濯物を干したり「帰ってきたらお弁当箱たらいにつけときってお母ちゃんいつも言うてるやろ」と息子に怒鳴ったりしていることでしょう。
ただしそれらの姿は投影であり、実体はここ大宇宙にあります。
たまに無理やり地球に戻ってしまう方もおられますが、そう長くは滞在できず、気がつけばハッ私またこの宇宙船に引き戻されてるみたいなことになります。無駄な悪あがきはやめて大人しくこちらでじっとしていたほうが疲れません。

この2年間は大宇宙から長い長いマジックハンドを伸ばして遠隔操作で地球に働きかけるようなものなので、陰謀トラップ裏面工作などややこしい作業はなるべく控え、シンプルなことをストレートに行うのがおすすめです。

さて、この宇宙ではしていいことといけないことがございます。
たとえば「人をだます」「人を傷つける」「人に迷惑をかける」、それらの行為はもちろん地球でも御法度ですが、特にこの宇宙では1のものが100くらいにふくれ上がって即時ご自分にはね返ってまいります。気をさえぎるものが何もないからです。
逆もまた真なりで人を助ける、人の役に立つ、人が喜ぶことをいたしますと、それもまた1のものが100にふくれ上がってご自分にすぐ戻ってまいります。
これを「宇宙限定・因果応報ポイント100倍還元ルール」と申します。ご希望の方にはのちほどCAがポイントカードをお配りいたしますのでお申しつけください。

またこの宇宙は地球とまったく異なる環境ゆえ、たいした努力をしなくても棚からぼた餅、一攫千金、あたしとうとう奥さんに勝っちゃったなどが現実化することがございます。一瞬「ツイてる」なんて思うかもですが2年後地球に帰れば水泡に帰すケースが少なくありませんのであらかじめご了承ください。

人やお金、ものなど離れていくもの去っていくものもあるかと思いますが去る者は追わず、それらはすべてあなたに必要のないものです。ご縁があるならあなたがすがりつかなくてもいずれ勝手に戻ってくるでしょう。
「気前よく手放す」「しがみつかない」「放っておく」、はいこれが宇宙旅行を快適に過ごす3大心がまえ、しっかり覚えておいてください。

ではここで九星別に点呼を取り、2018年の課題をお伝えいたしましょう。呼ばれた方は挙手お願いします。

★一白水星さん、はい。ああ酸いも甘いも噛み分けたいいお顔をしていらっしゃる。人の気持ちを縦横無尽に理解できるストレッチのきいた魂の持ち主、冷たく見えて情がある、好き嫌いで人を判断しない知恵がある、自分も孤独なのに人の孤独を気遣う慈悲がある。出会った人を魅了していつの間にか周囲のカリスマ、希望の星となるのが戌亥の一白です。
はいみなさんの課題は「夢の見直し」です。
今まで「夢」と思い込んでいたものははたして本当に夢なのか、それを実現させれば幸せになれるのか。もしかして本音を抑えて我慢しているのではないか、これでいいのだと無理に心をねじふせているのではないか。本当はもっともっと幸せになれる道が他にあるのではないか。
そんなことをこれからいろいろ考えて、人生の目的地の再確認と再設定をしてみてください。

★二黒土星さん、はい。口数は少ないけれどいざというとき発する言葉はどストレート、あまりにも核心をついているので誰も逆らえないという職場やご近所のご意見番かつ裏番長。この人に人生相談したらすべての答えは「無理」「無駄」「放っておけ」のどれかになるでしょう。普段はもの静かですが怒らせたら鬼よりこわい、手強さ頑固さシニカルさでは戌亥グループ中ナンバーワンです。
みなさんの課題は「言葉遣い」。
言葉に飾り気がないのは戌亥グループの特徴のひとつですが、たとえ真実とはいえ「ボンレスハムみたいですお客さま」より「もうワンサイズ上げたほうが華奢に見えますよ」と言ったほうがお客さまも喜びますし店の売上も上がります。どんな言葉を使うかで人間性と格が決まります、言い回しにバリエーションが利くようになれば人間関係も格段によくなることでしょう。宇宙旅行中に本を読んだり映画を見たりしりとりをするなどしてぜひ語彙を増やしていただきたく思います。

★三碧木星さん、ああ宙に浮いていらっしゃる。え? 居場所がない? 地球でもそうだったけど宇宙でも自分の居場所がない感じがしてふわふわ漂っちゃうんですか。
「現実世界に違和感を感じる」も戌亥グループの特徴のひとつ、特に三碧チームはじっとしているのが苦手ですからちょっと気を抜くとつい浮いてしまうのですね、でもその軽さがむしろ裏表のなさを感じさせて好感が持てます。じきに慣れて地に足が着くでしょう。
みなさんの課題は「不用品の処分」です。
この10年間でみなさんはたくさんのものを手に入れてきましたが、なかにはそろそろ手放していいもの、新規入れ替えしたほうがいいものもあるはずです。足下にいらないものが転がっているとフットワークが悪くなり本当に必要なものをゲットできません、けつまずいてケガをすることもあります。どうぞこの宇宙旅行期間中に不用品を潔く処分なさってください。

★四緑木星さん、はい。無愛想もといよけいなことを口にしない戌亥グループにおいてみなさんは比較的愛想がよく親しみやすいタイプ、いわゆる「こなれてる」「空気読める」「気配りうまい」といった方々です。洞察力があり頭の回転が速いので、わかりやすい嘘から巧妙な嘘まですべて見抜きます。見抜いても「仕方ないなあ」で済ませる、必要以上に人の弱みをつつかない、そっと放っといてあげる。そんな器の大きさが周囲に安心感と救済感を与えることでしょう。
みなさんの課題は「決断」。
ずーっと迷っていることあるでしょう、でもいつまでも迷っているのは時間と労力の無駄、迷ってるうちにどんどん年とっちゃいますよ。宇宙にいる間にじっくり考えてそろそろ結論を出しましょう。途中気持ちの高ぶりや葛藤、落ち込みなど激しい感情のブレも予想されますが大丈夫、幸せになるためにはそういうプロセスも必要です。あせらずじっくり考えて最良の道を選択し、そちらへ進む決心を固めましょう。

★五黄土星さん、ああ宇宙酔いですね今すぐ酔い止めをお持ちします。
えっ放っといてくれ? うーんさすが戌亥の五黄は唯我独尊、武士は食わねど高楊枝、いかなるときも他人を頼らず独立独歩で歩む剛毅なサムライ。「ひとりで生まれひとりで生きて死んでゆく」という潔い死生観と行間に見え隠れするはにかみが人間ぽくてすてきです。
いいんですよ宇宙に来たときくらい人を頼っても、ほら薬が効いて頬に赤みがさしてきた、あとで熱いお茶をお持ちいたしますね。
はいみなさんの課題は「価値観の再構築」です。
静寂に満ちた宇宙ではたくさんの気づきが得られることでしょう、「人がどう思うかより自分がどうしたいかだな」「しかめ面より笑って生きるほうがトクだな」「カレーは安い豚コマで十分」など真理を悟ったら改めるべきことは改め、よりよい人生のリストラクチャリングを行ってまいりましょう。

★六白金星さん、はい。ああいつもと変わらず気高くすがすがしくノーブルな雰囲気、頼もしく思います。戌亥・六白の別名は「孤高の哲学者」。そもそも六白チームの脳内には広大な宇宙が広がっておりますので、実際に宇宙に来てもそれほど違和感を感じていないのではと存じます。機会がありましたら宇宙人との交信にもチャレンジしてみてください。
型にはまらないフリーダムでダイナミックな思考力と抜群の行動力を持つみなさんなら、すぐに宇宙の生活に順応できるでしょう。
みなさんの課題は「脱皮」です。
蛇が古い皮を脱ぎ捨てて大きくなるように、みなさんも用済みの価値観やルールを捨てながら活発に新陳代謝してください。脱皮の試練を乗り越えるたび、みなさんの魂はどんな宝石よりも美しい光を放つことでしょう。

★七赤金星さん、はい。「キツい」「コワい」「スキがない」とささやかれる戌亥グループの中でもこのチームはソフトな印象ですね。シビアな本音をユーモアの砂糖でコーティングする技術をお持ちですし、フレンドリーで魅惑的な微笑は人の心を溶かします。しかしうっかり扱いを間違えるとさあ大変、かぶっていたネコをかなぐり捨ててヒョウに変身し、獲物を一撃で仕留めます。運命学では「戌亥の七赤をあまく見る者は秒殺される」と申します。くわばらくわばら。
はいみなさんの課題は「クールダウン」です。
好奇心旺盛で上昇志向の強いみなさんですが、冒頭で申し上げたようにここは宇宙、重力がないので思うように身体が動きませんし地球とは環境が異なるのでいつもの経験則から導き出される直感や判断があてになりません。「あれっ? こんなはずじゃ」というあせりや不安から「大言壮語」「大風呂敷」「偉そうなこと言うけど結果出てないよね」になりがちです。空回りして「ああもう疲れた疲れきったご飯作るの面倒だからピザでもとるか」と投げやりにならないためにも慎重にいきましょう。

★八白土星さん、はい。どっしり落ち着いていらっしゃいますねさすがです。
どんなときも泰然自若たる戌亥の八白に「あせりと不安」「感情のブレ」「確定申告の記入漏れ」という言葉はありません。「頭がよくて頼もしい」「きっちり筋が通ってる」「計算が深い」「器が大きすぎて全容が見えない」と噂されるみなさんの別名は「ヒマラヤ山脈」。ここ宇宙においてもどっしり揺るがないその姿は、他チームの心のよりどころとなるでしょう。
みなさんの課題は「人との調和」です。
ご自分の賢さや意識の高さに特別意識を持ってはいないでしょうか? ええたしかに戌亥の八白はスペシャルに頭が切れますし総合スキルも高いですけども、無意識の上から目線には気をつけてください。
よけいな敵を作らず野望をスムーズに叶えるためにも「みなさんのおかげです」「いつもありがとう」という感謝と謙譲の気持ちを今後養ってまいりましょう。

★九紫火星さん、はい。少し疲れたお顔ですね無理もありません。
戌亥の九紫は感性が鋭く繊細で敏感、第六感が発達して人の感知しないものまでキャッチする特殊な能力をお持ちです。喜怒哀楽は激しいほうですがあまり顔には出さず、ご自分の中で処理&昇華する強い人でもあります。
水晶のようにひんやりクールな透明感をまとっておりますが頭の中は常に真実を求めて高速回転しています、それゆえ疲れやすいのかもしれません。
みなさんの課題は「クリーニング&メンテナンス」です。
邪気払いで水晶を用いることがありますが、何回も使っていると石の内部に邪気が溜まり、輝きが曇ってまいります。そういうときは日光浴や月光浴、流水につけるなど本来のパワーを回復させるためさまざまな浄化法を用います。
人間も生きていると水晶のように心身にアクが溜まってまいります。日々日光を浴びたりお風呂に入ってその日のアクはその日のうちに落としているのですが、それだけでは取り切れない場合もございます。ストレス過多というやつです。長期間放っておくと眠れなくなったりやる気がなくなるなど心身に不調を来しやすくなります。
・・・思い当たりますか? ではこれからこの宇宙で過去10年間に溜まったアクをきれいに浄化してまいりましょう。

・・・はい、こんな感じです。この宇宙旅行のことをちまたでは「天中殺」と呼びますが、むやみに恐れる必要はありません。むしろ専門家の間では「天が与えた人生のリセット期間」「よけいなものをすべて祓い落とせる2年間」と定義されています。
していいこと、いけないことをきちんと守り、それぞれの課題をクリアすることで業(ごう)が浄化されるとともに人生の軌道修正が可能になり、人間としての成長も望めます。特に戌亥グループの場合、「12年に一度の天中殺を乗り越えるたびに魂が清まり、光を増す」といわれます。
どなたさまもぜひこの貴重な機会を有意義にご活用いただきたいと思います。

さて2018年立春に地球を旅立ちましてから、本船は予定通り順調に運航しております。これからしばらく地球のまわりを飛行したのち、太陽系惑星を順次巡ってまいります。さらに足を伸ばして広大な銀河系のスペースドライブも予定しておりますので、どうぞお楽しみに。

・・・この先多少の揺れが予想されますのでシートベルトを腰の低い位置でしっかりお締めください。飛行が安定態勢に入りましたら、のちほどCAがお飲み物と茶菓をお持ちいたします。また前のお座席の背中ネットに挿してありますショッピングカタログ「戌亥の友」にお好みの品がありましたら、お気軽にお近くのCAまでお声かけください。今月のおすすめは煮詰まった頭がクールダウンできるスカルプシャンプーセット、心のブラックホールに吸い込まれそうになったとき役立つ安全ザイルでございます。

それでは引き続き安全で快適な空の旅をお楽しみください。肩の力を抜いてリラックスされ、どうぞごゆっくりおくつろぎください。次回ミーティングでまたお目にかかりましょう。
Good Luck、Thank You。